上層部推薦指定図書プロジェクト#3

 難解な本をチョイスすることで、上層部への真面目風なポーズを決めることにだけは成功したワシ。感想文の提出や発表会といった鬼畜イベントは、プロジェクト開始時に「やらない」と明言されている。

 が、従業員に対する信頼が揺らいじゃったと漏れ聞こえてきた今のナーバスな上層部なら、正直なにをやってもおかしくはない。備えあれば憂いなしの精神で、とりあえずこの難解な本を読み解くことをタスク管理における最上位優先課題に位置付けた。

 

 で、早速挫折した。自身の学力レベルを勘案すれば当然ともいえる結果に驚きすらないワシ。ビッシリと敷き詰まれた細かく膨大な文字量、初見を置き去りにする専門用語・難解用語の乱れ打ちと一切の手加減を許さない内容に、思わず乾いた笑いが漏れる。アカン、アカンぞコレは。

 結局、読み解くことを早々にあきらめ、アマゾンレビューなりネットなりで頭の切れる方が公表されているであろう書評を読み、要点をまとめる方向で落ち着いた。最小限の労力で張れる予防線であると自画自賛。しかし、このことを聞いたマンガ勢、

 「お前読んだん?マジメやなぁ。」

 悲報、マンガ勢、まだ読んでなかった。

 「オレ、古本屋で売ったわ。」

 続報、転売勢も出現。ワシのもにょり感情は、悪い意味で吹っ飛んだイエア。